ちりつもメモ

塵も積もれば山となる。暇つぶしの忘備録

アルファロメオの合コン

20代の終わり、友人がバーベキューに誘ってくれた。

ただのバーベキューではない。合コンだ。

しかも、友人とその知り合いのツテを頼って、さる大企業に勤める男性との合コンである。

それなりにしっかりしたお勤めの方々なので、と友人も太鼓判。

私も若かったので、夢膨らませて出掛けて行った。

 

当日、会場に到着すると、駐車場に見たことがあるようなないような外車が3~4台並んでいた。

当時私は車にまったく興味がなく、メーカーまでは分からなかった。

私の田舎ではまずお目にかかれない車だなー、とだけぼんやり思った。

 

そして夢膨らませて御対面した男性たちは、予想とは違った。

期待値が高すぎるものは、大抵うまくいかないものである。

断っておくが、友人は悪くない。

集まった男性の年代も30後半から40代と、適切の範囲内であった。

しかし。

だがしかし。

わたしは30歳を過ぎた男性の圧倒的なオジサン感にやられてしまった。

そして、男性は30歳を過ぎると一気に加齢することを初めて知った。

また、20代最後とはいえ、こういう男性が相手としてふさわしくなる年代に自分もなってきたんだな、というダブルのパンチもくらった。

ホント、我が身を振り返れば、決してそんなことおこがましいというのは分かっちゃいるのだけれど。

 

そんなこんなで、あまり男性陣との会話も進まず、ひたすら焼き上がる肉を本気で食べ続けることになった。

いや、私も途中頑張って話しかけてみたのだ。

しかし、相手と話そうにも、どうやら航空機などのエンジンを造る部署におられるその方々は、男性だけで十分盛り上がっており、専門用語の分からない私には、その会話は高すぎるハードルであった。

今なら航空機も大好きなので、多少エンジンにも詳しくなり、GEやらロールスロイスやらという海外メーカーの名前も挙げられる。

それに、最近の機体はファンブレードなどのエンジンの部品がアルミニウムからカーボンになって軽量化したとか、B777のエンジン独特の音が好みだとか、そんな小ネタも多少は持ってはいるが、きっとこういう小ネタを挟んでくる女を果たして彼らが望んでいたのかは疑問である。

 

彼らは、人は悪そうに見えなかった。

でもそれゆえか、その自慢のような内輪話とか、男が焼いて女が片付ける、みたいな昭和的なニオイを感じたからか、はたまた飲み物のお代わりをすすめてくれなかったからか、なんか違うなと思ってしまったのだった。

そんなこんなで、「次はない」と感じつつ、お互いに社交辞令の「また今度やりましょうね」の挨拶をして帰ることとなった。

その時である。

かの男性らはおのおの自分の車に乗り込んでいった。

その車が、来た時に見たあの外車だったのである。

同じ方面から来るなら、1台で来ればよいのに、各自それぞれ自分のマイカーできたようである。

アルファロメオであった。

しかも全員。

私はそのメーカー名前を知らなかったのであるが、後日アルファロメオという名前と高級車であることを友人が教えてくれた。

エンジンに詳しい男はアルファロメオがお好きなのか?

特徴的なドアの開き方にもびっくりした。

縦に開くのだ。

まるでスポーツカーのよう。(スポーツカーだったのかしら?)

私はそういった類の車は、GWかお盆のSAでしか見たことがなかった。

彼らは確かに、安定した収入を持つ素晴らしい合コン相手だった。

そして、そんな男たちを取り逃がしたことよりも、「この車ではイチイチ注目度が高すぎて、恥ずかしくて近所のスーパーとか行けない」と考える自分を発見できたことの方が、私には重要だった。

 

今でもアルファロメオを街中で見かけると、あの合コンと、その時に感じた「スーパーに行けない!」という焦りを思い出すのであった。

いや、アルファロメオはいい車です。もちろん。

彼らに良いご縁があったことを祈っている。

 

 

追記

乗っている車で、オトコは測れない。

レクサスに乗る高学歴高収入イケメンもいたが、どうしようもない女たらしもいた。

外車に乗るお金持ちも、見栄張りもいた。

そして、国産車に乗るイイ男もダメ男も、車を持たないスーパーハイスペック男もいた。

乗っている車でオトコは測れない。

でも、運転の仕方や車の扱い方で、そのオトコが女性をどのように扱うのかは、ある程度分かる。

分かるようになった。

そういうことだ。

年の功、バンザイ!