【サバイバル帰省】② 命がけの?帰省
サバイバル帰省のエピソード第2回目は、恐怖のお盆帰省について。
1回目のエピソードの約1年後、繰り返された悲劇について記しておく。
今年もお盆の帰省シーズンがやってきた。
そう。
布団なし、食事なし、子守あり(2歳児)のサバイバル帰省だ。
(懲りもせず、よく毎年帰るよね。私も。)
実家でのんびり。
私には遠い国の話のようだ。
ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの
よしや うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや
とは、室生犀星のお言葉。
新幹線の中から、緑が多くて晴れたきれいな空を見た時には、「あーやっぱり田舎はいいな」と思ってしまった。
けれど、改札を出て、母A子さんの迎えを待つこと30分。
はやくも後悔の念が・・・
約束の時間を過ぎても迎えに来ないので電話をする。
「今向かってる!」
信じて待つこと30分。
何食わぬ顔で登場する。
ちなみに家から駅までは30分。
「今向かってる!」は本当に家を出たばかりだったってこと?
相変わらず、事前の到着時刻の連絡はこの人には意味がない。
そういえば母A子さんはマイペースだった、と思い出す。
中学生の時も、雨でチャリ通学できない私を学校まで迎えに来ると言っていたのに、待てど暮らせど来ず。
途中で拾うから職場に向かって歩いてきて、という指示を信じて歩くこと3キロ。
職場に着いてしまった・・・
そしてそこからさらに数十分待たされた。
無理なら無理と初めから言って欲しかった・・・
もはや歩いてまっすぐ家に帰った方が早かったと感じた私は、それ以来母の送迎に頼ることはなくなった。
雨でも雪でも、LOVE自転車。
そう、これは序章だ。
こんなものでは終わらない私のサバイバル帰省。
台所には恒例のA子コレクション。
おしゃれに観葉植物を生けているかと思いきや・・・
これは空芯菜、である。
空きビンに生けられた空芯菜。
インテリアと実用性を兼ね備えて、ってやつだ。
せめて枯れたやつとか、色が変色した葉っぱは取り除いて欲しいけど。
私が気になるのは、いつこれが食卓に出てくるのかってことかな。
これだけじゃない。
載せていいのか、本当にためらったのだが・・・
それではクイズです。
これはなんでしょう?
はい、正解は自家製の干しゴーヤです。
え、クモの巣みたいな白いもやもやが見えるって?
あれはクモの巣ではなくてカビ。
本人曰く、梅雨の時期にカビてしまったのだとか。
もちろん、これは即廃棄してもらった。
「やっぱり捨てなきゃダメ?」
と聞いてきたA子さん。
まだ、食べるつもりか!?死人が出るよ。
そう言えば、インドでも全くお腹を壊さなかった過去が頭をよぎる・・・なるほど。
A子さんの解説がないと全く何者か分からない、そんなものたちで埋め尽くされる台所。
これが70歳を過ぎたおばあちゃんなら認知症を疑うが、A子さんは若いときから常にこうだったのでもはや驚かない。
窓辺にはたくさんの野菜のヘタ的なところが、水を入れた豆腐パックの中に並んでいる。
豆苗の2回目を狙うがごとく、ニンジンやよくわからぬ野菜の破片が鎮座する。
は、生えてくるかなぁ・・・
というか、生えてきたら食べるつもりなのか・・・
一つ一つ野菜の破片が何であるか確かめ、整理を促す。
珍しく、どうぞと出された布団で寝れば、一晩中ダニに刺されてかゆくてかゆくてもだえる羽目に。
去年もダニに刺されたので、今年は用心してちゃんと干したか確認したのに!?
次の日の朝、「ダニに刺されてまったく寝れなかった」と言ったら、
「え?蔵の中で窓の下の日なたに置いてたから、毎日干してるのと同じだと思ってた」
だそうだ。
それは干してない。
干してるんじゃなくて保管してるだけだよ。
かゆくなるわけだ。
最終日。
どうしても実家のお風呂に入らねばならなくなった。
それまで地元の温泉に通い、実家のお風呂に入るのを避けていたのに。
身の安全を確保するため、自らお風呂を掃除する。
そしてもちろん一番風呂。
なんでここまでするのかって?
1年前のGWに、甥っ子から結膜炎をうつされたからである。
私を見た医者が言った。
「感染した子供の後にお風呂に入りませんでしたか?」
絶句。
ええ。ええ。
治りかけだから大丈夫と看護師である母に言われ、信じた私はアホだった。
だから自分の身は自分で守るのである。
実家とは、のんびりするところではなく、サバイバルするところなのだ。
年末に帰省すると、これに寒さが加わる。
ストーブの確保が生死を分ける。
ストーブをつけるとき、室内温度の表示は0度。
0度ならまあいいか、と思っていた私。
最近ふと気づいた。
きっとマイナスでも0度としか表示できないだけだったんだね。
だって、台所のコップの水は氷っていたから。
冷蔵庫は、冷やすためではなく「食べ物が凍らないように入れておくところ」なのは東北地方の常識か。
まさに命がけの帰省。
屋根のあるキャンプだと思って耐え抜く所存である。